自然流産の50―70%が胎児の染色体異常です。その大部分は数の異常 (各種の常染色体や性染色体のトリソミー、モノソミー、三倍体・四倍体など) で、不均衡型や均衡型構造異常(相互転座・Robertson 型転座)は 2%に過ぎません。
常染色体モノソミーの大部分は妊娠早期の自覚しない流産として排除されます。構造異常の半分が親の均衡型構造異常に由来し、残り半分がde novo(新生)変異で、流産全体から見ると親の均衡型染色体異常が関係するのは少数です。
反復流産、習慣性流産について
自然流産の頻度は 15%で、サイコロをころがして1の目が出る確率に相当します。流産を2回反復するのはサイコロの1の目が2回出る確率(1/36)に、3回続けて反復するのは1の目が3回出る確率(1/216)に相当しま す。この偶然の重なり以外の原因としては母体の感染・子宮奇形・抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性疾患、血栓性素因などがあります。また、親の均衡型染色体構造異常もまれにあります。
自然流産を二回以上繰り返すことを 反復流産(recurrent abortions)、三回以上繰り返すことを習慣性流産(habitual abortions)と呼びます。流産を二回反復した夫婦のほぼ5%で夫婦のどちらかが均衡型染色体構造異常―主として均衡型相 互転座―を持つので、染色体分析をするのが適当です。ちなみに一般の夫婦のどちらかが均衡型構造 異常を持つ確率は0.5%です。反復流産した夫婦のどちらかが均衡型相互転座の保因者である率は3%、Robertson 型転座の保因者の率は2%で、妻:夫の比率はは2: 1 です。
詳細は日本産婦人科遺伝診療学会遺伝カウンセリング資格を有する院長まで、ご相談ください。