出生前診断については、一般の方からもよくご質問をいただくのですが、これは赤ちゃんに「病気がないかどうか」を調べる検査のことで、赤ちゃんに「異常があるかないか」を調べる検査ではありません。一見、同じように聞こえるかもしれませんが、意味合いが少し違います。
目的としては、あくまでも「病気があるかないか」です。もし病気が見つかった時は産まれてすぐに治療すべきか、どうやったら元気に育つかをサポートすることが目的です。早めに知ることで早めに準備ができるというメリットがあります。
大きな意味で言うと、毎回、妊婦健診でエコー検査などを受けられると思いますが、例えば、赤ちゃんの発育が悪いとか。用水の量が少ないなどの診断も、出生前診断のひとつということになります。

分かりやすい例で、胎児口唇裂というものがあります。胎児口唇裂だと空気がもれてしまって、母乳を吸えないのですが、形成外科的な手術をして、機能的に美容的に完治することが可能です。この病気を出生前診断することができると、福岡地区では九州大学病院の顎口腔外科を紹介して、ご両親にプレネイタルカウンセリングを受けてもらいます。病気を早く見つけて、産まれる前に病気の説明をして、実際に治った赤ちゃんの事例をみてもらうと、とても安心されます。そうすることによって、ご両親の不安も解消されて産まれてからの治療の受け入れもスムーズになります。
このように、出生前診断は、赤ちゃんに病気があるかどうかを見つけて、早めに対応していくことが本来の目的ということになります。