厚生労働省の報告では、2018年の平均初産年齢は30.7歳で35歳以上で出産する女性は年々増加しています。高齢出産のリスクは胎児因子で考えると流産・染色体異常、母体因子で考えると妊娠高血圧症・妊娠糖尿病・吸引分娩や緊急帝王切開の可能性が高くなります。
安全な出産を目指して、「妊娠リスクスコア」という指標が作られていますが、4点以上はハイリスク群に分類され、高次医療施設における妊娠分娩管理を推奨されます。実は40歳以上の妊娠は妊娠した時点で5点となるので、すでにハイリスクとなってしまいます。
当院で経験した最高齢の妊婦さんは46歳の経産婦さんです。途中、急性膵炎になって心配しましたが、高次病院で入院治療(絶食、点滴、投薬)を受けて、無事に退院され、当院で正期産、自然頭位経腟分娩となりました。
医療は不確実要素が多く、「絶対に大丈夫」とは言えません。検査や手術の際には万一の時事故や合併症を詳細に記載した同意書にサインを求められると思います。とくに産科領域では高齢妊娠に限らず、妊娠出産にはトラブルは付き物です。しかし、前もって、危険を予測し、対処方法をシミュレーションしていれば十分安全に診療できると考えています。
ほかにも、若年妊娠と比較すると、経済的に余裕があると思いますし、「高齢妊娠、高齢出産はハイリスク」と一律に捉えないほうがいいのではないかと思います。
※本文は、「やさしく解説 産婦人科のおはなし~妊娠から出産直前編~」から抜粋。同書籍では、妊娠中のお悩みやトラブルについて徹底解説しています。